2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

作家紹介(10)/探索的な映画/佐々木友輔『新景カサネガフチ』

文責:佐々木友輔 拙作『新景カサネガフチ』の制作は、2010年の秋頃、floating viewの企画立案と同時平行で行われた。私にとって、この映画の撮影はそのまま「郊外」についてのリサーチの役割を果たすものであり、脚本の執筆は展覧会のステイトメント執筆に…

作家紹介(9)/ 生きる環境、生かされる権力、生きている作品/石塚つばさ『Inlet』『mother』『PANGAEA』

文責:佐々木友輔 石塚つばさは、絵画やインスタレーションを中心とした作品発表に加え、植物に関する勉強会と制作活動を兼ねたプロジェクト「オニワラボ」の展開など、多岐にわたる活動を続けている。彼女は、企画立ち上げの段階からfloating viewに関わり…

作家紹介(8)/映像環境を遊泳するための地図/渡邉大輔「映像圏(imagosphere)」『imagenealogical tree―映像圏でつくるイメージの系譜』

文責:佐々木友輔 floating viewに欠かせないキーワードのひとつである「情報環境」を、映像・映画の観点から読み解こうとしているのが渡邉大輔である。彼は「映像圏(imagosphere)」という概念を提唱し、現代の映像文化が示す記号的特性やリアリティについ…

作家紹介(7)/「その場所」に批評させること/藤田直哉「ザクティ革命」『シリーズ 10年代の光と闇』

文責:佐々木友輔 SF・文芸を中心として批評・評論活動を行っている藤田直哉が、2008年に『東浩紀のゼロアカ道場』を機にスタートした映像による批評活動/作品が「ザクティ革命」である。これは、作家や批評家への突撃取材やイベント後の打ち上げの様子をXa…

作家紹介(6)/記憶のハコとしての団地・ヴォイド空間・映画/川部良太『ここにいることの記憶』『そこにあるあいだ』

文責:佐々木友輔 2007年に制作された川部良太の映画『ここにいることの記憶』の舞台は、希望ヶ丘と呼ばれる団地である。10年前にそこで行方不明になった当時12歳の少年<カワベリョウタ>についての記憶が、現在の団地の風景の中で、住人の朗読によって語ら…